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執筆者の写真Hideyuki Ikeda

武術 技の三原則

わたしが大切にしているわざの三原則があります。

I、方向

2、タイミング

3、スピード

です。

そこには力は含まれていません。ここでいう力とは部分的な筋力のことを言っています。

なぜ部分的な筋力を含めないか?

それは部分的な筋力では惰力が作れないからです。本当のパワーは部分的な筋力ではなく惰力から生まれます。惰力にはパワーがあります。身体操作でその惰力をコントロールしていくのが体軸なのです。

この技の三原則も体軸から生まれるものでなければなりません。

例えば普通に歩いている時は何気なく筋力で歩いている人が多いです。前にも出した足を軸足にすると後ろの足は膝から下の下腿しか使っていません。普段から体軸を使っている人は両方の足が虚となり上腿(膝から上の大腿部)と下腿(膝から下の脚の部分)両方を使います。

急激な坂道で勢いがついて走り出した時、上腿と下腿と両方使うようになります。そうすると惰力が生まれさらに勢いがつくとコントロールがしにくくなります。危ないですね。そんな時は筋力でブレーキをかけてコントロールするようにします。時にはブレーキとして筋力を使う必要もあります。

武術でも危ない技は筋力を使ってコントロールすることも必要になってきます。

脳の中枢神経の動きを働かすなら体軸を使います。脳と直結できます。

さて技の三原則の話に戻ります。

相手の攻撃を避けたりこちらから攻撃する場合でも方向は大切です。

太極拳経で

この方向をうまく言い表している言葉があります。

相手が剛で攻撃して時柔で対処しなさい

人剛我柔之走

この剛を私は一方向の力、柔を多方向の力と捉えています。一方向の力に対して多方向の力で対処するから力はぶつからない。

タイミング

攻防において受けるのも攻撃するのもタイミングが大切です。

太極拳経ではこのタイミングをうまく言い表している言葉があります。

相手の背をとりなさい

我順人背之黏

背をとるとはどういうことか

つまりタイミングですね。

武術ではスピードのコントロールも大事です。

それをうまく表している言葉

動急即急応

動緩即緩随

早い動きには無意識で反応する

ゆっくりした動きには相手に随行していく

短い言葉の中にも深い意味があります。

次からこの太極拳の言葉を説明していきたいと思います。

2024.年3月25日

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