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執筆者の写真Hideyuki Ikeda

人剛我柔之謂「走」

太極拳経の言葉です。

人が剛で攻めてきたら柔で対処する

これを「走」という。

私は技の三原則の一つである「方向」に当てはまると思っています。

そもそも剛と柔の定義から考えなければならないと思います。

剛とはなんですか?

柔とはなんですか?

聞くと人によっていろいろな答えが返ってきます。

剛は固いもの、柔は柔らかいもの

と答える人が多いです。

水はどちらですか?

剛ですか?

柔ですか?

水は固いものとは言えませんね。

津波を柔とは思えませんね。

私の答えは明確です。

剛を一方向のパワー

柔を多方向のパワー

と捉えています。

そうして捉えた方が武術的に利用できるからです。

相手が一方向のパワーで攻撃した時に多方向のパワーで対処した方が有利になりやすい。

そのことを太極拳経では「走」と言っているのだと理解すると具体的にその考えを実用できます。

一方向に対して一方向なら

捨己従人

はできても

後発先至

はできない。

多方向で対処するから

後発先至

が可能となります。

虚実として捉えてもいいですね。

相手が実で攻撃してきた時、こちらも実で対応すれば力はぶつかります。

相手が攻撃してきたところを虚にして同時にこちらの実で返せば力のぶつからない攻防が可能となります。

その虚実のコントロールを可能にするのが体軸なのだと思います。

体軸の回転運動をうまく使うことにより一方向の

対処にはならない。

まさに剛に対して柔で返すことになるのだと思います。


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