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執筆者の写真Hideyuki Ikeda

5月16日記す       双重について


太極拳経では双重の病と記載されてます。

双重は病なのです。

普段の歩行においても套路を行う時でも双重にならないようにすることは大事です。

双重は気が滞ります。

武術でいうと居つくことです。

スムーズに流れない。

歩行で考えてみましょう。

体軸があるから車輪のごとく歩けるのです。

湾曲した背中を体軸を作るためには腰を立たせて背中をまっすぐにする必要があります。それを可能にしているのが仙骨の丸みです。

回転運動をするから丹田という中心が必要なのです。

丹田からの回転運動から自然に腰を立たせる事ができます。

間違って丹田に力を入れるひとがいますがそれでは丹田は働きません。

簡単です。

お臍から動けばいいのです。

丹田は中心です。

お臍から動けば自然に中心から動くようになるのです。

体軸で車輪のごとく左右交互にスムーズに動かしているのが腸腰筋などのインナーマッスルの働きです。

足を上からおろすようにして歩くと軸足に体重がかかりもう片方の足は膝から上げる形になります。軸足に体重がかかることによりもう片方の足の上腿も使ってしまうことになるからです。このようにして歩くと膝から下の下腿の動きになり膝に負担が多くかかります。体軸がないとそうなってしまいます。

猫の四つ足の動物の歩きを見ていると背骨を中心に歩いていますね。

人間も体軸を中心に下から上の動作で歩くのが自然なのです。

そうすれば膝にはダメージがありません。

腰から後ろの筋肉(ハムストリング)を使うようにします。前の大腿四頭筋を使うと膝が固定されてしまいます。軸足に体重をかけるともう片方の足の大腿四頭筋も軸足の方に動き使った状態になってしまいます。だから足を前に出すと膝からの動きになり膝は固定されてしまうようになってしまいます。体軸から足を引き上げるようにして歩くと上腿と下腿、両方を使う事ができ腰から動くことによりハムストリングが使われて膝にゆとりがでます。重力は上から下にかかりますが足のベクトルは下から上になるように歩くのが自然なのです。だから左重なら左は虚、右重なら右杳となります。右は横系なので下と上の虚実の関係と言いがたいので虚という字を使えなかっただけで虚と同じ意味と考えます。杳は実ではないという意味になります。

上肢の動きでも双重ならならないようにしなければなりません。

そこで気をつけなければならないのは自然に動く事です。体軸を使って自然な動きをしなければ勁は流れません。勁は丹田から発します。下から上に流れます。左は縦系なので自然に肩から流れるのですが、右は横系なので肘の動きから流れます。自然に動くとそうなるのです。意識的に動くと随意筋の動きで自然な動きができなくなってしまいます。随意筋の動きでも身体は動けますが本来の惰力のパワーは出せません。

勁で手を出すと自然な流れで動きがつながりますが随意筋の動きでは部分的な動きになり次の関節に繋がっていきません。武術でいう居つくことになってしまいます。

相反する極で動くため左と右も性質が違うのです。バランスよく動くためには体軸はどうしても必要なのです。

この自然な動きが意外と難しいですね。

そのため勁道を使うと自然な動きを可能にするのにとても役立ちます。

上腕を使う時は人差し指、前腕を使う時は中指を

使います。しかし下半身を使った場合は前腕は親指使います。

上腕は人差し指と尺沢というツボで上腕に繋がっています。

前腕は上肢で気沈丹田をする場合と下肢で気沈丹田をする場合の二種類があります。上肢で吊り上げるようにして気を丹田に沈める場合と下肢で気を沈める場合です。

上肢を使った場合は中指と曲沢

下肢を使った場合は親指と曲池

になります。

白鶴亮絲は上肢で吊り上げる気沈丹田(中指で気を沈めます)

単鞭などは下肢の気沈丹田になります。(親指で気を沈めます)


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