ここは訳が難しい。
ウキペディアの文語訳では
然るも力を用いることの久しさに非ざれば、豁然として貫通する能わず
口語訳では
長い稽古を経なければ、この境地に達することはできない
長い間力を用いない練習を積めば、はっきり見えてくるものがある
わたしはこう解釈した。
太極拳ではパワーの概念が筋力とは全く質が違う勁という考え方をする。
勁は身体を流れるのだ。力むとスムーズに流れない。関節がうまく連携することによって流れるのだ。筋肉は移動しない。流れもしない。筋肉を意識的に使えば意識した筋肉だけが動くことになる。統一体としての動きを求めるなら筋肉重視の考え方から抜け出す必要がある。
勁という身体を流れるエネルギーを太極拳では使う。これは筋力とはまったく質の違うものでありその理解は太極拳拳では不可欠だ。だから太極拳は要訣も多い。筋力に頼らないこと。これがなかなか難しい。昔の人は生活の中で自然に本能的な身体操作法を身につけていた。しかし便利な世の中になればなるほど本能的な身体操作ができにくくなってきている。意識で動く随意筋主体の身体操作になりがちなのだ。
統一体としての身体操作をするなら勁の概念が有効である。それは全く筋力とは異質なもので部分的な筋力を使わない練習を積まなければならないのである。
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